FCP-024 イッカク
Character Class Safe
FCP-024はエリアB-ルーム10に収容されます。ルーム内は人型FCP収容手引書に基づいてレイアウトされます。食事の配給は一日に三度行ってください。FCP-024の角に触れようとする存在を発見した場合、直ちにそれを阻止してください。阻止が間に合わないと判断した場合は、FCP-024から距離をとった上でFCP治療班及び特殊清掃班に連絡してください。FCP-022及びFCP-023との面会が希望された場合は許可してください。
FCP-024は江戸紫色の瞳を持ち、鉛白色の短髪の女性の姿をした麒麟です。推定10cmの犀角に似た細い角を額に有し、他者に対し角に触れないよう注意喚起を行います。ブレストプレート、ポールドロン、バンブレス、タシットのみの甲冑に似た簡素な防具を身に着けており、それらはいずれも絶縁性を示します。ブレストプレート中央には雷属性の魔力を有した紫色の石がはめ込まれています。
FCP-024は周囲から吸収した静電気を体内で増幅し、それらを用いて疑似的に雷を操る力を持ちます。FCP-024は多くの場合は体表に雷を纏わせますが、雷魔法のように発射することも可能です。体表の雷はFCP-024に対しては電気治療に似た作用を示し、痛みの緩和や自然治癒の促進を促します。逆にFCP-024以外の生物に対しては雷魔法とほぼ同等の作用を示し、量によっては対象に一時的な麻痺か気絶を誘発します。発射された雷のみならず、雷を纏ったFCP-024の体術を受けた際も同様です。ただしFCP-024が雷を武器として用いるのは戦闘状態に入った場合か後述の場合のみです。職員はFCP-024に敵と認識されないような振る舞いを心がけてください。
FCP-024は他者に自身の角が触れられた場合、瞬間的に対象を殺害します。この時、対象の体は雷によって引き裂かれ、三枚におろされた魚に似た状態になります。FCP-024が普段から角に対し注意喚起を行っている事や殺害後のFCP-024の様子から、これらは角を触られたことによる反射と考えられています。FCP-024の注意喚起の言葉に、カリギュラ効果の発生を異常に促進させるような効果は確認されていません。FCP-024の精神状態の安定のため、職員の人員不足の予防のため、FCP-024の角に触れることは禁止されています。仮に自殺願望があったとしても絶対に触らないでください。
追記:FCP回収班あるいはFCP捕獲隊にFCP-024を雇用する案は、「対象となるFCPの不可逆的な凶暴化を招く恐れがある」として却下されました。
FCP-024ヒアリングログ
実行日:▅▅/▅▅/15:15~
質問者:▅▅博士
〈記録開始〉
FCP-024:貴方が、みんなが言ってた博士さん?初めましてね。先に言っておくけど私の角には触らないでね、貴方を傷つけたくないの。
▅▅博士:角の件は重々把握していますのでご心配なく。…ではこれより質問をはじめます。初めに貴方の種族、麒麟について教えてください。
FCP-024:私の故郷での事しか答えられないけどいい?一言に麒麟と言っても、人間と同じでいろんな種類がいるから。
▅▅博士:えぇ、構いません。
FCP-024:少なくとも私の故郷では、麒麟の社会は人間の身分階級っていうのと似た感じだったわ。王と王妃とその家族が一番上に居て、その次に彼らに仕える最上級麒麟がいて、その下は一般麒麟…細かく言うと上級麒麟、中級麒麟、下級麒麟って分かれてる。角の有無とか、属性に関する力を持ってるかとか、属性としてくくれない特殊な力を持ってるかとかでいろんな分け方をされてはいたけど、結局は最初に言った階級ごとに括られてたわ。
▅▅博士:その中で、貴方は何処に属していましたか?
FCP-024:有角種最上級雷麒麟。噛み砕いて言うと、角があって、最上級麒麟の家に実って、雷の力を扱えるって意味ね。
▅▅博士:実った?生まれたではなく?
FCP-024:私のいた村には▅▅▅▅って呼ばれてる樹があって、みんなその実から生まれるの。結ばれた麒麟が互いの血を混ぜたものを捧げると▅▅▅▅に実がなるの。わかりやすく言うと卵ね。後はその二体の祈りの力や互いを愛する力で成長していって、育ちきったら地面に落ちて、衝撃で割れた皮の中から子が生まれてくるわ。
▅▅博士:なるほど。…麒麟の姿は今の貴方のように、我々人間と同じですか?
FCP-024:これはあくまで人型、本当の姿は違うわ。ウマとかシカとかライオンみたいな…でもどれとも違う。
▅▅博士:その姿を見せていただくことはできますか?
FCP-024:それは、人間で言うところの「今ここで全て服を脱ぎなさい」ってのと同じ意味よ。悪いけど、私はそれで「はいそうですか」ってやるような麒麟じゃない。だからって他の二人に言っても無駄だからね?
▅▅博士:他の二人…というのは、貴方が連れていたという女性と少女のことですか?
FCP-024:そうよ?…あっ、そっか、あの二人は人間と見分けがつかないわよね、無角種だから。あの二人も麒麟、上級と中級の一般麒麟よ。
▅▅博士:そうだったのですか、わかりました。…次の質問ですが、その角についてお伺いしても?
FCP-023:母から遺伝したものよ。でも骨でできてるんじゃなくて、あくまで皮膚の塊。サイと同じね。
▅▅博士:なるほど、ありがとうございます。…ただ私が聞こうとしていたのは、貴方が他人に角を触られた時に関してでして。
FCP-024:あー…それ?
▅▅博士:気分を害する質問でしたら申し訳ないですが。
FCP-024:いえ、大丈夫。まず前提として、有角種の麒麟は他人に角を触られるのはとっても嫌なことなの。麒麟によっては恋人や家族でも触られるのを嫌がるわ。全身に鳥肌が立って…なんて言ったらいいのかしら、とにかくとても不快になるの。理性を失って暴れることもある。…といっても、私ほど危険な麒麟はそうそういないでしょうけどね…。
▅▅博士:角を触った対象を殺害している間、貴方は何か感じていますか?
FCP-024:…何も。さっきまで目の前にいた人が、気が付いたら三枚おろしになってて、自分の体は血に染まってる。もしかしたら私は二重人格なのかもしれないって思ってしまうほどに、私は何も分からないの。…だからもうこれ以上、私の角のせいで誰かが死なないように、触らないでって言って回ってるの。
▅▅博士:そうですか、ありがとうございます。次の質問です。貴方は雷を扱うことができるようですが、それは何かしらの魔法によるものですか?
FCP-024:んー…魔法とは多分違うと思う。私のは現地調達したのを増幅してるだけだから。
▅▅博士:現地調達、ですか?
FCP-024:静電気ってあるでしょ?それを周りから集めて、体内で生成した雷を加えて増幅させるの。
▅▅博士:では、体内ではどうやって雷を生成しているのですか?
FCP-024:え…っとー……ごめんなさい、よくわからないわ、無意識でやってるから。呼吸とか、力んだりとか、そういうのが関係してるとは思うけど。
▅▅博士:その胸元の石は関係ないのですか?
FCP-024:あぁこれ?これは雷を打ち出す時とか、体内に残った余分な雷を自然放出させる為よ。
▅▅博士:そうでしたか。最後の質問ですが、貴方達がこの人間社会に姿を現した理由について教えていただけますか。
FCP-024:もしかしてだけど侵略者みたいな扱いしてる?私達はあくまで村を出ただけよ。
▅▅博士:詳しく教えていただけますか。
FCP-024:誰しも知られたくない秘密はあるものでしょ、博士。…ただ、村を出るって言うのは引っ越しとかとはわけが違うわ。その後の自分の人生を大きく変える…もしかしたら死ぬかもしれない、そんなことなの。
▅▅博士:…どういうことですか?
FCP-024:一度村を出た麒麟は穢れ者と呼ばれて、二度と村に戻ることができなくなるの。追放されたとしても、自ら村を出たとしても、その対応は変わらない。もちろん狩人とかは話が別よ?でも私達はそういうものじゃない。家族も住処も全て失って、この先を生きていくことになる。…だからまぁ、この施設には感謝してるわ。ちょっと退屈ではあるけど…衣食住には困らないし、危険なモンスターもいないしね。
〈記録終了〉
