FCP-041 魂売りの洞窟
Character Class Safe
FCP-041はオブロナクテ郊外の何処かに不定期で現れる洞窟です。FCP-▅▅▅の捜索任務にあたっていたエージェントF▅▅▅により偶然発見されました。内部は土で構成されており、その成分は出現場所付近の土と一致しており、異常な特性は見られません。壁には小さな松明が5〜7mおきに設置されていますが、ぬかるみや地面の凹凸があるため、光源を用意して入ることが推奨されています。FCP-041内は基本的に一本道ですが、その長さは1.3~1.7kmの範囲でランダムに変わります。FCP-041内には数種類のモンスターが生息していますが、いずれも攻撃を加えられない限り此方に興味を示しません。 好戦的なモンスターでも、洞窟内では同様の反応を示します。
FCP-041の元に辿り着くためには、群れて空を飛ぶ魂を見つけ、その後を追う必要があります。魂の群れは午前2時~4時の間に見受けられ、特に丑三つ時とされる午前2時~2時半の間はより見つけやすい傾向にあります。それらは霊感の有無や種族に関わらず視認することが出来、それらを追わずにFCP-041に辿り着くという試みは未だ成功していません。
FCP-041の最奥部は15平方メートル程度の空間が広がっており、松明の数に変化はありませんが道中よりも明るく照らされています。椅子のないカウンターテーブルが置かれており、その奥には魂を瓶に詰めるための機械と薬棚が壁沿いに設置されています。カウンターテーブルから半径15mに生物が近付くと、暗紅色の瞳と青みがかった緑の髪を持つ女性(以下、FCP-041-Aと表記)がどこからともなく現れます。FCP-041-Aはカウンターに近付いてきた対象(以下、客と表記)に対して魂の販売を開始します。客が購入する意志を示すと、FCP-041-Aは代金として木の実や肉といった食料品を求めてきます。代金を支払うとFCP-041-Aは瓶詰めの魂を差し出します。代金となる食料が足りない場合、払える限りの代金を要求され、その量や質に応じた量の魂が瓶に詰められます。客がそれを受け取るとFCP-041は消滅し、客は洞窟の外に戻されます。魂を購入する際、一旦 洞窟を出て代金を調達することは可能ですが、24時間以内に洞窟に戻ってくるように伝えられます。魂の購入を断った場合は理由を聞かれ、返答によっては魂の購入後と同じ現象が起きます。 現時点で、FCP-041-Aの販売した魂に特異性は見受けられません。
24時間以内に洞窟内に戻ってこなかった場合、FCP-041-Aはその客を万引き犯と認識し、悪夢やポルターガイストといった現象を発生させます。これらを受けた客は精神的にも肉体的にも衰弱し始め、これはいかなる医療技術をもってしても遅らせたり回復させるといったことはできません。1週間が過ぎる前に本来の1.5倍の代金を支払うことで現象は収まり、客は衰弱状態から回復します。支払いを行わずに1週間が過ぎた場合、客は衰弱死し、その魂はFCP-041-Aに回収され商品として使用されます。
FCP-041実験記録
目的:FCP-041-Aの特異性の調査
実行者:観測者Ryuo、任意参加職員
〈実験01〉
客:エージェントRick
〈記録開始〉
エージェントRick:…壁面にビーコンを取り付けた。これよりFCP-041-Aと接触する。
〈3分間、移動〉
FCP-041-A:いらっしゃいませ。魂が必要かしら…?
エージェントRick:あぁ、お願いするよ。これで足りる?(紙幣をカウンターに置く)
FCP-041-A:⋯ごめんなさい、代金は食料品で承ってるの。
エージェントRick:そうか。ダメもとで聞くが、食料品以外で代金になるものはないのか?シルバーアクセやアート作品とか。
FCP-041:食料品以外は代金として承ってないの⋯ごめんなさい。
エージェントRick:そうか。…少し意地悪なことを聞くが、ゲテモノと呼ばれるものや、他の国では食べられているが此処では食べないもの、調理しないと食べられない生肉や毒性のある食べ物は、代金には入るか?
FCP-041-A:…不思議な質問をされるのね。…材料や毒性の有無に関わらず、貴方自身が食べられるかどうかで判断して。生肉は焼けば食べられるから使えるし、毒物は毒が消える調理方法を貴方が知っているのなら、問題ないわ。⋯好き嫌いや体質によって食べれないものは、貴方がそれを食料品として見ているなら使えるわ。
エージェントRick:なるほど。じゃあこれで頼むよ。(木の実を入れた袋をカウンターに置く)
FCP-041-A:理解してくれてありがとうね⋯これが商品よ。またのお越しをお待ちしてます…。
〈記録終了〉
結果:FCP-041の消滅と同時に、エージェントRickは瓶詰めの魂を持った状態で外に現れました。エージェントの足元には、壁面に設置されたはずのビーコンが転がっていました。エージェントRickが購入した瓶詰めの魂はエリアC第一オフィスのロッカーに保管されています。
〈実験02〉
客:エージェントLina
〈記録開始〉
FCP-041-A:いらっしゃいませ。魂が必要かしら…?
エージェントLina:失礼ですが、私が魂を喰らう種族に見えますか?
FCP-041-A:見た目だけでは判別できかねるわね…姿を変えられる種族はそれなりにいるもの。それに、魂を食べない種族だとしても、呪術や儀式で魂を使う人はいるわ⋯。
エージェントLina:なるほど、だからこうして商売が成り立っているのですね。生憎ですが、私は魂は食べません。呪術や儀式を行う予定もないです。
FCP-041-A:…貴方…、冷やかし?
エージェントLina:いえ、私は仕事で、この洞窟の調査のためここに来ました。冷やかしに来たわけではないですが、もしそう思わせてしまったのなら謝ります。
FCP-041-A:…いえ、冷やかしじゃないなら良いわ。…次来た時は、購入してちょうだいね…。
〈記録終了〉
結果:FCP-041の消滅と同時に、エージェントLinaは外に現れました。エージェントLinaに異常は見られず、念の為に行われた身体検査でも異常は見つかりませんでした。
〈実験03〉
客:T-0092
〈記録開始〉
FCP-041-A:いらっしゃいませ。魂が必要かしら…?
T-0092:うっわ、マジに魂売ってんのかよ、イカれてんな。
FCP-041-A:あら…貴方は魂を食べないのね?
T-0092:誰が食うか、悪魔になった覚えはねーし、考えるだけで吐きそうだぜ。
FCP-041-A:…貴方…、冷やかし?
T-0092:はーぁ、今日は散々な一日だな。エージェント共に無理やり連れてこられた挙句、魂を売るイカれた女の相手をして、冷やかしとまで言われるなんてな。
FCP-041-A:うちは冷やかしお断りよ…。
T-0092:あーもーうっせーな、冷やかしと思うんなら勝手に思ってろイカレ女、俺はもう帰…え?
(モンスターが集まり、通路を塞いでいる)
FCP-041-A:……仕入れの手間が少し省けたわ…。…安物だけれど。
〈記録終了〉
結果:FCP-041の消滅と同時に、T-0092に装着した小型カメラが外に現れました。T-0092は現在も行方不明です。
〈実験04〉
客:エージェント▅▅、T-1056
〈記録開始〉
FCP-041-A:いらっしゃいませ。魂が必要かしら…?
エージェント▅▅:魂の買取はできますか?
FCP-041-A:あら、もちろん。あなたの魂?
エージェント▅▅:いえ、彼の…
T-1056:あぁ、ソイツ自身の魂だ。
エージェント▅▅:T-1056!?勝手なことを言い出さないでください。貴方は我々の説明を受けた上で、自ら同行を申し出たはずです。
T-1056:お前の魂を俺が売っちゃいけねぇなんて誰が言った?俺にもお前の魂を売る権利がある。なぁ、店員さんよ。
エージェント▅▅:黙りなさいT-1056。店員さん、彼です、彼の魂を買い取ってください。
T-1056:いや、そいつの魂を買い取ってくれや、店員さんよ。
エージェント▅▅:T-1056!いい加減に……え?
(モンスターが集まり、通路を塞いでいる)
T-1056:オイオイなんだよアレ、聞いてねぇぞあんなの…!
エージェント▅▅:…まさか…そんな、何故…。
FCP-041-A:……うちは殺人犯のための店じゃないわ…他人の魂を売るくせに、自分の魂は売られたくない…そんな客はお断りよ…。
〈記録終了〉
後書:FCP-041の消滅と同時に、食料品が詰められた袋と一つの肉塊が洞窟の外に現れました。調査の結果、肉塊はエージェント▅▅とT-1056の残骸から生成されたものであることが判明しました。
FCP-041-Aヒアリングログ
実行日:▅▅/▅▅/02:40〜
質問者:エージェント▅▅▅
前書:このヒアリングは、FCP-041内で行われました。
〈記録開始〉
FCP-041-A:いらっしゃいませ。魂が必要かしら…?
エージェント▅▅▅:えぇ。ただその前に幾つか質問をしてもよろしいでしょうか?
FCP-041-A:⋯質問をしたいなんて、不思議な方ね⋯?えぇ、構わないわ。
エージェント▅▅▅:ありがとうございます。…いきなりになりますが、貴方はどちらに住まわれているのですか?
FCP-041-A:どちらって…ここに住んでるけれど…?
エージェント▅▅▅:そうですか。ではこの洞窟が消失している間、貴方はどうしているのですか?
FCP-041-A:⋯どういうこと?
エージェント▅▅▅:この洞窟の入り口は、空を飛ぶ魂の群れを追跡しなければ、いくら探しても見つかりません。その上 発見位置に多少のばらつきがあり、客が魂を購入した後は跡形もなくこの洞窟は消滅するのです。
FCP-041-A:…ごめんなさい、言ってることがよくわからないわ…。
エージェント▅▅▅:では、貴方がここでどう過ごされているかを答えてください。
FCP-041-A:…私はずっとここにいて、貴方達お客さんが来るのを待っているだけよ…。そして、魂を買った後に消えるのは、貴方達の方。
エージェント▅▅▅:…そうですか。それは君の力によるものですか?
FCP-041-A:…多分、違う。私の力は、商品になる魂を呼び寄せるための…ここから動けない私が魂を調達するためだけの力、だと思うから…。
エージェント▅▅▅:動くことが出来ない?
FCP-041-A:見えない壁みたいなものに阻まれて、この空間の外へは出れない…まるで、地縛霊みたいにね。だから、この洞窟の構造や、洞窟がどこにつながっているのか、お客さんや魂達がどこから来るのかは…私は知らない。…知れない、と行った方が正しいのかもしれないけれど。
エージェント▅▅▅:貴方は幽霊なのですか?
FCP-041-A:…それとは少し、違うと思うわ。私は自分の足で立っているし、人や物に触ることができる…。それに怪我だってするわ…もう出る血はないけれどね。
エージェント▅▅▅:生ける屍なのですね。
FCP-041-A:生ける屍…、そう、私はそう呼ばれる種族になったのね…?
エージェント▅▅▅:少なくとも、私の職場ではそう呼んでいます。貴方はこの洞窟の中でお亡くなりに?
FCP-041-A:それはわからないわ…。死因とか、生前の事は何も思い出せないの…でも、死んだってことは覚えてた。
エージェント▅▅▅:では、目覚めた後の事を教えていただけますか?
FCP-041-A:…目覚めた時はもうこの場所にいたわ。最初は何が起きたのかわからなかったけど、この機械を見たら…この機械を綺麗にしなきゃって、どうしてかはわからないけれど、そう思った。今は綺麗だけど、その時は土埃で汚れていたから。このカウンターの中に汚れた布があったから、それを天井から落ちてくる水で洗って…それで拭いたの。そしたら今度は機械が勝手に動いて…セットされていた瓶の中に、魂が詰め込まれていった。それを見て、私はまた、これを売らなきゃって…そう思った。機械を拭いていた時に、これの動力が食料だってことを知ってたから、食料と魂を交換することにしたの。
エージェント▅▅▅:なるほど。…魂の売却についても少しだけ質問してよろしいでしょうか。
FCP-041-A:売りたい魂があるの…?
エージェント▅▅▅:あぁいえ、今回は購入に来ただけなので…ただ一応、確認したいことが。
FCP-041-A:…いいわ、どうぞ。
エージェント▅▅▅:代金が食料品で制限されているように、売却用の魂にも何かしら制限はあるのですか?
FCP-041-A:いえ、それは特に設けてないわね…。
エージェント▅▅▅:では…例えば、そこらで捕まえた虫の魂を売るというのもできるのですか?
FCP-041-A:…できることはできるけど…それなりに量がないと、魂の量が少なすぎて食料に換算できないわね。タダ売りでもいいって言うのなら、受け取るけれど…。
エージェント▅▅▅:なるほど。では魂と食料のレートは、数ではなく重さで決まると?
FCP-041-A:まぁ…大方そうね。でも質も重要ね…良質な魂は、多少軽くても高く買い取るわ…。
エージェント▅▅▅:魂の質というのは?
FCP-041-A:悪人の魂は質が悪い。…あとは、わかるでしょう?
〈記録終了〉
後書:ヒアリング終了後、エージェント▅▅▅は魂を購入し、FCP-041の消滅と同時に瓶詰めの魂を持った状態で外に現れました。エージェント▅▅▅が購入した瓶詰めの魂はエリアC第一オフィスのロッカーに保管されています。
