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FCP-060 赤黒い小説

Character Class Careful→Settle

 FCP-060は表紙サイズ11cm×17cm、厚さ1.5cmの右綴じの書籍です。目次1ページ、中扉1ページ、本文29ページ、白紙255ページの全288ページによって構成されており、解読不能な未知の記号が赤黒いインクで印字されています。表紙はゴシック調の印刷がなされたサーブル紙で、同一の文字でタイトルが印字されています。連続誘拐殺人犯 ▅▅▅▅▅・▅▅▅▅の家宅捜索により発見され、特異性が確認されたことから回収されました。当時 家宅捜索を行った全人員には記憶処置を施し、この本の存在を忘却させました。エリアC-ルーム31内のロッカーにて保管されています。
 FCP-060は、生物の体液がつくことでその特異性を示します。体液の種類や量は、特異性の発生に影響しません。かけられた体液の持ち主(以後、FCP-060-Aと表記)はFCP-060に対する読書欲を示し、FCP-060を読むために積極的に行動します。これは体液が他人によってかけられた場合でも、意図せずかかってしまった場合でもします。FCP-060の存在を知らない人物でも同様の行動を示し、その際にFCP-060-Aの脳内にFCP-060の外観に似たイメージが浮かんだことが証言されました。FCP-060-AはFCP-060内の文字を認識することができ、それによってFCP-060が「幻想逃避、夢の中」というタイトルのファンタジーノベルであることが判明しました。また、キャラクター名や地名といった特定の単語に色を認知しており、明度や明度の個人差がありますが色相はほぼ同等に認知されています。定期的にエリアC-ルーム31に環形動物や節足動物などが大量発生することから、人間以外の動物もFCP-060-Aになり得ると考えられます。
 FCP-060-AはFCP-060の読書中、いかなる刺激にも反応を示しません。読書後にそれを伝えた場合は「集中していて気付かなかった」という返答をします。読書を終えたFCP-060-Aは満足感と幸福感を示し、精神の安定状態が維持され他者に対し友好的に振る舞います。一週間ほどするとFCP-060-Aは再度 読書欲を訴え、FCP-060との接触を望みます。それが叶えられなかった場合、FCP-060-Aの精神は不安定状態となり、他者に対し攻撃的に振る舞います。FCP-060と接触ができた場合、FCP-060-Aは自身の血液をつけて読書を開始します。これは、FCP-060-Aになる前につけてしまった体液が血液以外のものであっても同様です。その後は、先述と同じ状態が繰り返されます。ただし接触回数が増えるほどFCP-060-Aはより多くの血液をつけようとし、そのための自傷に躊躇いは見られません。このことからFCP-060-Aの健康が危惧されFCP-060との接触は一時期 禁止されられましたが、FCP-060-Aの凶暴化の対処が追い付かなくなり再開されました。

追記:20▅▅年▅▅月21日、FCP-060内の本文ページの増加、挿絵ページの追加、白紙ページの減少が確認されました。FCP-060-Aの読書前の行動と何かしらの関係があるとみられており、FCP-060の完成によって特異性を喪失するという仮説がLutter博士からあげられました。現在、HDクラス職員からの制限付き許可のもと、Tクラスを中心にFCP-060-Aを用意しFCP-060の更なる変化を促しています。

2018年2月13日 Settleクラスに承認

 2018年2月11日をもって、FCP-060は完成状態となり、Lutter博士の仮説通りに特異性を示さなくなりました。全288ページの内訳は、巻頭と巻末の白紙2ページ、目次1ページ、中扉3ページ、挿絵6ページ、本文275ページ、奥付1ページです。FCP-060-Aは少数を除いてFCP-060への興味をなくしており、エリアC-ルーム31での動物の大量発生もなくなりました。また、有志によってFCP-060の翻訳版が作られ、全エリアの書斎に配布されました。現在は資金調達の一環として、翻訳版の出版準備が進められています。Lutter博士はAクラスへ昇格しました。

FCP-060 赤黒い小説: TeamMember

FCP-060-Aヒアリングログ01

実行日:▅▅/▅▅/12:30~

回答者:T-2016(FCP-060-A)

質問者:Lutter博士​

​​前書:ヒアリングを円滑に行うため、T-2016は事前にFCP-060に接触しています。

​ 

〈記録開始〉

Lutter博士:調子はいかがですか、T-2016。

T-2016:最高、この一言に尽きんな。この余韻を糧にまた頑張ろって思える。

Lutter博士:そうですか。あの本を相当気に入っているようですね。

T-2016:そっだな、オレも驚くくれにハマってる。小説なんざ、本を開いただけで読む気が失せんが、あれだけは大丈夫なんだ。世界観に引き込まれんのか、黒一色じゃないからかは知らんけど。

Lutter博士:黒一色ではない?

T-2016:そ。味方キャラの名前はマリーゴールドの色、武器の名前はスミレの色、敵キャラの名前はモミジの色って感じに、あれの文章には色がついてんだ。

Lutter博士:(FCP-060の写真を見る)…私の目には、そのような色は見受けられませんが。

T-2016:あぁ、だろうな。博士はあの本に何も捧げてねんだろ。

Lutter博士:…血のことですか?

T-2016:そ。オレも血を捧げねと色が見れね。ってかそもそも、捧げね奴にゃ読ませてくんねんだ、あの本は。どこめくっても、見たことね文字だか記号だかだったな。でも捧げたら色も見えるし、ちゃんと読める文字になんだ。

Lutter博士:ですが貴方は…情報によると、血液恐怖症では?

T-2016:今でも血は嫌いだ。でもアレに捧げる時は大丈夫だ。多分、アレを読めるってワクワクが勝ってんと思う。

Lutter博士:最初に貴方があの本の異常性に触れたのは、血液ではなく唾液だったはずです。なぜ血液をつけるようになったのですか。誰かからそう教わったのですか?

T-2016:そうか、そういやそうだったな。でもあの時は多分、最初だからってことで特別に読ませてくれたんじゃね?知らねけど。で、血を捧げるようになったのは、続きを読むためにあーしてんだ。頭のいいアンタらなら、もう勘づいてんじゃねの?あの本のインクが何か。

Lutter博士:………えぇ、まぁ。

T-2016:なら後は言わなくたってわかんな?

Lutter博士:つまり…血を付ける行為は、本を読むための行動でもあり、物語の続きを本に発現させる行動でもあると?

T-2016:そゆこった。まー、虫らはオレらと違って、色を作るために利用されてるだけだろけどな。さすがのあの本も、文字を知んね虫らに読ませんのは無理だろかんな。

〈記録終了〉

FCP-060-Aヒアリングログ02

実行日:▅▅/▅▅/10:35~

回答者:T-2016(FCP-060-A)

質問者:Lutter博士​

前書:T-2016は事前に完成状態となったFCP-060と接触しましたが、FCP-060に興味を示しませんでした。

 

〈記録開始〉

Lutter博士:T-2016、FCP-060は読まなくてよかったのですか?

T-2016:博士は興味のないアニメを最後まで見れっか?オレぁ無理だ。小説はチビん頃から嫌いだし、あの非現実的な世界観も今思い返すとすんげ気味わりぃ。

Lutter博士:ですが、主人公一行と敵との最後のバトルをあんなに楽しみにしていたではないですか。

T-2016:そだな。…でも、もいい。なんであんなハマってたんか、オレでもわかんね。これまでのオレがオレじゃねみてぇだ。アルリドル(味方キャラクター)が死んだんで丸一日悲しんだんも、オレのことだがすんげバカバカしい。

Lutter博士:そうですか。…T-2016、読まなくてもいいのでその本を開いてください。

T-2016:まじで言ってんか?あんな血のついた本、触りたかね。

Lutter博士:ですがこれまでは…。

T-2016:これまでのオレはオレじゃね!あんなオレは、オレが認めね!

Lutter博士:わかりました。(手袋を出す)これをお貸ししますので、開いてください。

T-2016:んなにオレを嫌がらせて楽しか、博士。

Lutter博士:貴方を不愉快にしたいわけではありません。その本について確認事項があります。これはこの本の読者だった人物全員に行っています。

T-2016:……拒否権なしか、やりゃいんだろ、ったく。(手袋をはめて開く)

Lutter博士:読めますか?

T-2016:いんや。んな文字、読めんわけね。

Lutter博士:ではこれまでのように血液を付着させてください。

T-2016:……は?

Lutter博士:…もう一度言いましょう、血液を付着させてください。

T-2016:…博士、オレはアンタの飼い犬じゃね。開くのも文字見んのも全部我慢してんだ。

Lutter博士:これまでは普通にできて…

T-2016:何度も言わせんな!!(手袋を机にたたきつけ)あん時のオレは狂ってた!アンタらに狂わされたんか本に狂わされたんか知らねが、あんなんオレじゃね!今のオレがオレだ!

Lutter博士:ですがこれは確認の…

T-2016:っけんな!!(Lutter博士の胸倉をつかむ)テメェ恐怖症なめてんのか!恐怖症じゃねテメェに何わかんだ!!

エージェントYui:やめなさい、T-2016!

(エージェントYuiがT-2016をLutter博士から引きはがす)

T-2016:…ケッ、確認すんならテメェ自分でやりやがれ。んでオレを処分したきゃ好きにしろ。

〈記録終了〉

​ 

後書:ヒアリング終了後、T-2016には精神安定剤の投与と記憶処置を行いました。エリアEへの輸送日は未確定です。

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